【ゲイ】カミングアウト体験談その1大学時代はじめてのカムア編
カミングアウト。ゲイの間では主に、性的指向つまりゲイであることを誰かに伝えることを差します。カムアと略したりもします。
僕は大学生の時は1人にしかしませんでした。社会人になってからポツポツとしていって、アラサーになった現在では兄弟を含め20人前後が知っている状態です。
大学時代、友人にしたカミングアウト
今回はカミングアウトの一番最初の話です。大学3年生の時、仲の良かった同級生とふたりで宅飲みをしていました。彼は飄々とした性格で群れることを嫌い、しかし極端に人づきあいが悪いわけでもなく、けれど集団の中にいても自分を曲げない、そんなかっこいいやつでした。
予ねてからカミングアウトについて考えていた僕は、彼なら聞いてくれるんじゃないかと、ほろ酔いの頭で考えました。お決まりの恋愛トークがはじまり、彼女がどうたらという話になった時、僕は何でもない顔をして切り出しました。
「あのさ、彼女っていうか、おれ、ゲイなんだよね」
ほろ酔い気分と勢いでそう言ってしまったものの、言った瞬間、心臓がバクバクし始めました。生まれてはじめて、自分がゲイだということを、ノンケ(と思われる)の知り合いに伝えたのです。なるべく平静を装いながらも、頭の中では高速で、拒絶された時のリアクションをシミュレーションしました。
嫌だったら今後もう無理して付き合わなくていいよ。そう言って距離を置くか。
なーんて、冗談だよ。そう言ってふざけて終わらせるか。
そんなことを考えていた僕に、彼は言いました。
「ふーん。そうなんだ」
驚きも嫌悪も、感じられませんでした。こんなにあっさりしたものなのかと戸惑います。
「う、うん」
「まあ、あまりみんなには言わない方がいいかもね。いろんな人がいるし」
そうアドバイスしてくれて、それで終わり。みんなに言わない方がいいかも。っていうのは正直傷つきましたが、なんでもないことと受け止めてくれたことに対する嬉しさが勝りました。話題は他のことに移っていき、お開きとなり、ああ言って良かったな、受け止めてくれてありがたいな、めでたしめでたし。
……と思ったのですが。
数か月後、またふたりで宅飲みしている時のことです。
「どう?最近。彼女できた?」
彼からそう訊ねられたのです。
え、だってカミングアウトしたやん、彼女はいらんよ。ちなみに彼氏も出来てないわ。
って返せばよかったのかもしれませんが、なんだか怖くて出来ませんでした。
「んん、まあなかなかねー」
そう言って濁してそれで終わりです。また話題は他のことに移っていき、お開きとなり、それから僕はめちゃくちゃいろいろな可能性を考えました。以前のカミングアウトが彼の中でどう処理されたのか。
①受け止めてくれた
受け止めてくれた上で、
・ゲイだとしても彼女を作るかもと思った
・彼氏というのが気恥ずかしく、彼女と置き換えた
②受け止められなかった
受け止められなかったので、
・無かったことにした
・彼女を作れよというメッセージ
③忘れた
・酔ってて忘れた
・どうでも良くて忘れた
結局、その真意は怖くて訊けないままです。
そんなちょっと悲しい初カミングアウトでしたが、アウティングされたり、避けられたり、嫌がらせされたり、そんなことは全くなかったので、その点はありがたかったなと思います。まあ本当は、そんなことでありがたいとか思わなくてもいい社会だといいんですけど。
考えさせられたこと
で、この件でカミングアウトについて、より考えるようになりました。
カミングアウトして、自分はどうしたいのか、相手にどうしてほしいのか、相手とどういう関係を築いていきたいのか。
相手の立場になって考えてみたら「いきなりそんなこと言われてもどうしたらいいの……」ってなるよなって、この件を通して学んだんです。
それで整理していったら
・恋愛の話などで嘘をつきたくない(そして出来れば僕の話も聞いてほしい)
・それ以外の部分では変わらぬ関係でありたい
というところに行き着きました。その辺りをきちんと伝えられなかったから、彼も困っただろうなと。
そういうわけで、初めてのカミングアウトは少しほろ苦というかなんというかで幕を閉じましたが、今振り返ると、本当に色々なことを考えさせてくれたなと思います。
以上、大学時代のはじめてのカムアについてでした。
ではまた。