ゲイであることと仕事は、関係あるのか、ないのか。

結論から言うと、関係ある、と僕は思う。

「働くことは、生きること」

と、某ドラマの主人公は言っていた。

であれば、その生きることと切っても切り離せないセクシュアリティは、当然関係ある。しかも密接に関係がある、のではないだろうか。

大学生の頃、進路について悩む僕は、ゲイであることを踏まえて以下の条件を考えた。

  • ゲイであることをオープンにして働くつもりは(今のところ)ない
  • 古き良き的な体質は合わなそう
  • 収入はそこそこでも好きなことをしたい
  • 地元から近からず遠からず
  • 転勤は無しで

これらを考慮して新卒で就職し、その後転職した。

なぜこれらの条件を考えたのか、そして二つの職場を経験した今、これらの条件はどう変わったか、書いていきたい。

ただし、これはこの記事に限らないが、全てのゲイがゲイだから◯◯と考えるわけでは無いし、逆にゲイじゃなくても◯◯と考えることもある。

あくまで、ゲイ「でも」ある僕の一個人の考えである、という前提で読んでもらえると幸いである。

ゲイであることをオープンにして働くつもりは(今のところ)ない

これは、就職前から今にいたるまで、変わらない。

業務と直接的には関係が無いから。

テレビのイメージで「ゲイだから」トークがうまいでしょとか、いじっても大丈夫でしょとか、センスあるんでしょとか、美意識高いんでしょとか、良くも悪くもバイアスをかけられたくないし。

古き良き的な体質は合わなそう

オープンにして働くつもりがない、というのと関連するんだけど、そうすると「古き良き」的な体質は合わないかなと。

男は結婚してこそ一人前とか、家族ぐるみでの行事があるとか、そういうの。そういうのは無理だ。

あとはそういう会社って男は「男らしく」あることを求められるのかなと。これはゲイだからというわけでもないけど、そういうのを求められても困るなーって。

これについては幸いなことに、最初の職場も今の職場も、お互いのプライベートにあまり踏み込まない空気があり、とても助かっている。

古き良き的な体質の職場で苦労しているゲイの友人の話を聞くとやはり「合コンをセッティングしてあげる」「いい人がいるんだけど」「風俗にいこう」なんていうことがあるみたい。快適に働いていく上では重要なポイントだなと感じる。

まあこれは、そういうのが苦手なノンケの方々も、おなじように感じることだとは思うけど。

収入はそこそこでも好きなことをしたい

夫が稼いで妻が家を守って、という時代ではない。とはいえ、例えば子供ができても常に二馬力でやっていけるというのはちょっと楽観的だろう。家庭をもつと考えると、やはりそれなりの収入が見込めなければいけない。

けど、ゲイだし、結婚しないし、子供もできないし、そんなにたくさんのお金はいらないじゃん。好きなことしてもいいのでは。

かつてゲイだと自覚した時に自分を絶望させた、結婚「できない」、子供が「できない」、という諦めたことが、ここにきて選択の自由を与えてくれたのだ。

というのも、僕が考えていた業界は、高収入が見込めるようなところではなくて、けどとてもやりがいがありそうで、というところだったのだ。

もしノンケで、結婚や子供のビジョンが明確にあったとしたら、もしかしたら選べなかったかもしれない、と思う。

で、実際働いてみてどうだったかというと、これについては何とも言えない。

というのも、子供がいようといまいとお金は必要で、あればあるだけ嬉しくて。けどじゃあ、やりがいは無くてもいいのかと訊かれたら、それもまたそうだとは言い難くて。

お金(や労働環境)とやりがいのバランスというのは、ゲイか否かに限らず本当に個々人の価値観によるなと、いろんな友人と話していて感じる。

そしてその価値観は経験を通して常に変化していくから、あまりガチガチにしばられずに柔軟に考えていくのがいいのかなと思っている。

地元から近からず遠からず

さて、お金のことを考えると、結婚が「できない」ということは、必ずしもマイナスではないと思った。けれど、結婚が「できない」ということは「家族ができない」ということだ。一生「独り」なのだ。と、当時の僕は考えた。

働く場所=生きる場所を考えたとき、家族や地元にそれほど愛着があったわけではないけれど、独りで縁もゆかりもない地で生きていくということに、恐怖を感じた。

その恐怖が「東京でしかできな(くもないかもしれないけど他でするのは難し)い仕事」を僕の選択肢から外させた。

かといって、ど田舎の地元でゲイとして生活していくのも、出会いや交友関係てきに厳しいなとも思った。

そこで間をとって、地元のある地方のなかの大都市で就職し生きていこうという風に考えた。

これについては、結果論として、この選択で良かったなと思っている。いま現在の生活に、それなりに満足しているから。

けど、東京に出て、やりたいことをやっていたら今頃どうなっていたかな。たまにそんな風に考えることもある。まあ、それで成功していた保証はないし、ないものねだりなんだろうけれど。

だからこれは、当時に戻って選択しなおせたとしても、どういう選択をするかわからない。

けど、一度東京にでてみても良かったんじゃないかななんて、思わなくもない。

転勤は無しで

ゲイで結婚ができないということは、転勤についていく(ついてきてもらう)あるいは単身赴任?をするという選択肢が難しいということだ。

転勤についていく(ついてきてもらう)場合は、どちらかの仕事や将来設計が不安定になる。オープンにしていなければその説明も難しい。

単身赴任は、結婚していなければそれはいわゆる遠距離恋愛だと、僕は思った。いろいろな考えがあると思うけど、終わりの見えない遠距離恋愛を続けていくのはつらいなと個人的には感じる。

で、そうすると、自分は転勤無しで、できれば相手も転勤が無いと良いなと考えた。

この考えは当時も今も変わっていない。

幸い、相手も転勤がほとんどない仕事をしている。

けど、相手の仕事に関しては僕がどうこう言う立場ではない。やりたいことをやってほしいとも思う。から、もし相手がバンバン転勤があるような仕事をしたいんだと言いだしたらその時はその時で、いろいろ考えないといけないなと思っている。

まとめ:ゲイであることと仕事は関係がある

ここまで書いてきたように、仕事を考えるうえでゲイであるということはいろいろな場面に影響してくる。

ゲイであることは僕の一要素でしかないけれど、僕をかたちづくる大切な一要素なのだ。

本来はこういう仕事と関係のないことが、ほんとうに何も関係ないことが大切であると思う。それは、ゲイに限らず、LGBTQに限らず、男とか女とかそういうことも関係なく。

全ての個々人が、様々なその属性ゆえに、選択肢を狭められることのない世の中になるといいなと思う。

けれども、いまのこの現状で生きていく現実的な話をすると、なにが譲れて、なには守りたいのか、それを自分でしっかりと見つめていく事が大切だと考える。

守りたいものは人によってそれぞれだし、同じ人でもいろいろな経験によって変わっていく。

自分の、そして他人の大切なものを、大切にしていきたい。

……以上、「ゲイであることと仕事は、関係あるのか、ないのか。」でした。ではまた。