別冊マーガレット『消えた初恋』(作画アルコ/原作ひねくれ渡)を読んでBLについて考えてみた

先日、すごい本に出逢ってしまいました。

こちらです。

『消えた初恋』[作画]アルコ[原作]ひねくれ渡

『消えた初恋』[作画]アルコ[原作]ひねくれ渡 です。

このマンガがすごい!2021にも入っていたのに知らなかった、僕の不勉強はお恥ずかしい限りなんですが、それは置いておいて。

この表紙と帯にびっくりして即購入しました。

男男交際

あの、あの別冊マーガレットから「男男交際はじまっちゃいました❤︎」って、なにごと!?

読む前は正直、期待半分、不安半分、といったところでした。

大好きな別マだから、へんな描き方はしていないと信じたい。

けれど、大好きな別マだからこそ、もしネタにするような感じで書かれていたらツラいな。

そんな半分半分です。

結果、めちゃくちゃ良いです。へんな心配してごめんなさい。信じてないわけではなかったんです……。

内容としては、ある勘違いから男の子同士の恋がはじまる……!?

的なものなんですが、男の子同士に恋が芽生えそうなところ以外は、別マの王道的なラブコメです。

コメディーパートはくすりと面白く、しかしラブパートはしっかりキュンとさせてくる、あの感じ。

で、コメディーでは笑わせてくるんだけど、それはあくまで、恋や気持ちの勘違いで笑わせてくるだけで、決して男同士を笑い者にはしていない。

それどころか、男同士の恋に関する不安だったり、悩みだったり、そういったところが丁寧に描かれているのです。

そして、その不安や悩みに寄り添ったり払拭してくれたりするまわりのキャラクターもいて、読んでいるこっちまでその子に救われるような気持ちになる部分がありました。

同性愛を異質なものとして扱わず、けれどまだ確かに存在している窮屈さもしっかりと描いて。これが少女漫画の王道ど真ん中、別冊マーガレットの作品とは。

すごい時代になったものです。なんて台詞はさすがにおじさんくさすぎるでしょうか。

BLってなんだ

そこで考えたのが、BLってなんだということでした。

一昔前のBLは「ノンケ同士が恋をして、でも自分ホモじゃないはずなのにって悩んで、それでも抑えきれない衝動がその壁を越えさせて」みたいなのが主流だったように思います。

しかし最近(というかもう何年も前から)は、登場人物がもともとゲイだったり、別に男同士ってことに悩んでなかったりする話もけっこうあって、なんでもありというか、BLってもう男性と男性が恋していたらそれだけでBLなのかなって思っていたんですよね。

で、そう考えると、この『消えた初恋』の方が「ノンケ同士でゲイなのかって葛藤して」みたいな、よっぽどBLらしいというか。

じゃあこれは、少女漫画雑誌で連載されているBLなのかって言われたら、いやBLではないのかな、という気がして。

BLじゃない雑誌で連載されているという意味ではモーニングの『きのう何食べた?』(よしながふみ)が近いのかなと思うのですが、こちらはより明確に「BLではない」と個人的には感じます。

料理漫画の要素が多いことと、「男同士の恋愛」というより「ゲイの生活」を描いていると感じられるからです。

って、なんか感覚的な話ですけど。

で、対して『消えた初恋』はガッツリ恋を描いている。男の子と男の子の。

なのに僕はあまりBLと感じない。のはなぜだろう。とずっと考えているんですが答えは見つかりません。

非BL感の理由を考えてみた

見つからなかったんですけど、考えついた理由が3つあります。

1つ目は、展開がゆっくりなこと。

BL漫画の大半が、コミックス1巻で完結するし、そうでない場合でもだいたい1巻でくっつきます。くっつかなくても、片方が猛アタックしてるとか、そんなのが多い気がします。

この『消えた初恋』はもっとゆっくりとしたテンポで関係を深めていくので、それがBLとは違うところかなと。

もちろん、全てのBL作品が展開が早いわけではありませんが。

2つ目は、女性キャラクターががっつり描かれていること。

BL漫画では、あまり女性キャラが出てこなかったり、出てきてもモブ的な扱いをされることが多かったり、そうでなくても絶対に恋愛対象ではなかったり、といったことが多いです。(でした。僕が読んだことのあるものは)

対して『消えた初恋』では主要キャラクターに女の子がいて、そこがBLとの違いなのかなと思いました。

3つ目は、別マのチカラ。

別冊マーガレットに掲載されているという先入観や、別冊マーガレットで培われてきたアルコ先生の空気感が、BLとは別物だと感じさせるのかなと。

で、ここまで考えておいていうのもナンなんですが、まあなんでもいいんですけどね。BLだろうと、そうでなかろうと。

とにかく素敵な作品を生み出してくれて、育ててくれて、アルコ先生やひねくれ渡先生、担当編集者さま、別冊マーガレット編集部の皆さま、ご関係の皆さまに、感謝の気持ちでいっぱいです。

こういう話を別マでって、やっぱチャレンジングな部分もあったと思うんです。それでもこうして読者の元へ届けてくださり、ほんとうにありがとうございます。

遅ればせながら、これからしっかり追いかけさせていただきます。

というわけで以上、別冊マーガレット『消えた初恋』(作画アルコ/原作ひねくれ渡)を読んでBLについて考えてみたでした。ではまた。