日食なつこ「ミゼレーレ」の感想を書くつもりが彼女のことをいかに好きかというなんだか気持ち悪い文章が出来上がってしまった
日食なつこの配信ワンマンライブ「ミゼレーレ」から約2週間が過ぎた。アーカイブ配信が終了してからもしばらく経った。
今さら感は多分にあるが、それでもまったく治まることのない、どころか日々大きくなるこの心の動きを少しでも書き留めておきたい。そう思って「ミゼレーレ」の感想を書くことにした。
なお僕は普段、彼氏との会話の中では勝手に「なつこさん」「なつこさん」と呼んでいるが、本記事では敬称略とさせてもらう。
昔なにかで読んだ「呼び捨てこそが最大の敬意。偉人に敬称はつけない」になるほどと思ったのだ。
はじめに
さて、「ミゼレーレ」についての感想を述べる前に、僕が日食なつこという存在を知ってから今日に至るまでを記したい。
あ、先に断わっておくと僕はものすごく最近の、新規のファンである。
ので、「こちとらうん年来のファンなんだ、ニワカは黙っとけい!」という情熱をお持ちの方はその精神の安定と僕の豆腐メンタル保護のためにここで引き返していただきますようお願い致します。
また、以下は音楽素人の僕の個人的な感想であり、その源は僕の彼女(と楽曲とパフォーマンス)に対する感動のみとなっております。可能な限り調べ物をすること、不正確なことには言及しないこと、等気を付けてはおりますが、なにか誤りがありましたらご教授いただけますと幸いです。
と予防線を張りまくってすみません。好きなことについて話すというのはかくも怖いことなんだなと改めて感じているとともに、それでも誰かとこの気持ちを共感したいという思いが止められず書いてしまいました。
日食なつこと僕
2018年のことだった。
もともと、ピアノの音色が効いたJPOPが好きだった僕に、彼氏が「水流のロック」を勧めてくれた。
ピアノを主体としたシンプルな構成と、力強い歌声と、詞の世界観に魅了された。
聞いた瞬間、それは好きな曲の一つとなった。しかし、その時はそこ止まりだった。
そこから急にドハマりしたのは翌2019年の1月。
「水流のロック」で彼女のことが少し気になっていた僕は、2ndフルアルバム「永久凍土」(2019年1月9日発売)のリリースイベントとして行われたインストアライブに足を運んだ。
そこでもうやられた。
生ならではの臨場感、説得力、迫力。それは良いと感じたYouTubeの何倍もの力をもっていた。
もっと聴きたい、生で。
幸運なことに(というかリリースのタイミングでイベントとツアーをやったんだからまあ自然と言えば自然かもしれないけれど……)そのインストアライブから日を置かずしてホールツアー『▲Sing well▲Tour』が開催されたため、それに参戦した。
インストアライブと『▲Sing well▲Tour』ですっかり彼女の虜になった僕(と彼氏)は、その後も行ける場所で彼女のライブが開催される度に、足を運ぶようになった。
2019年9月のライブハウスツアー『炎上交際3』、同11月美術館ツアー『クラブイクリプス3 布石編』、そして2020年の『△Sing better△Tour』、など。
クラブイクリプス3 布石編
毎回毎回、期待以上の体験を提供してくれる日食なつこのライブの中でも、僕が一番好きだった、感動したライブが「クラブイクリプス3 布石編」である。
長崎県美術館と金沢21世紀美術館の2か所で行われたうちの、長崎県美術館の方に参戦した。

彼女の演奏は、広いエントランスロビーに高らかに響き渡り、それからすうっと僕の中に染み入った。
素晴らしい演奏で、本編はあっという間に終了してしまった。
舞台をおりる日食なつこを、観客は全力の拍手で讃えた。その拍手は、彼女の姿が見えなくなっても弱まることなく続いた。
僕も手を叩き続けた。
アンコールを望む気持ちが1mmも無かったと言えば嘘になる。
素晴らしい演奏だったから、出来ればもう少し聴かせてほしいという気持ちも確かにあった。
けれど、それよりも僕は伝えたかった。
彼女の素晴らしい演奏に感情を揺さぶられたことを。夢のようなひとときを創ってくれたことへの感謝を。
あの日あの会場で一緒に手を叩いていた他の観客も、きっとそんな気持ちだったんじゃないかな、と勝手に思っている。
そして、そんな僕らの気持ちが彼女に届いた。
日食なつこが、舞台にふたたび戻ってきてくれたのだ。
そこで彼女は語った。
予定調和なアンコールが嫌で、最近はあまりアンコールをおこなっていないこと。
けれど今日の拍手は、そういう形式的なものではない、みんなの気持ちが伝わったから急遽アンコールを決めてくれたこと。
(なんて書いていると、じゃあアンコールが無かったときは彼女に気持ちが届いていないのかとか、そう取られてしまうかもしれないとちょっと不安に思った。決してそういうことではないと思う。その辺がきちんと伝わっていないとすれば、それは思い返して文字にしている僕の表現力の未熟さなのでどうか容赦していただきたい)
それを聞いただけで、僕はもう、アンコールの演奏を聴く前から満足だった。
ものすごく良いライブをしてくれて、それを僕たち観客が受け止めて、ものすごく良いと思った気持ちを拍手で表して、それがきちんと彼女に受け止めてもらえた。
これ以上なにを望むのかというほど、これぞライブ、的なものを感じたのだ。
しかし、満足な僕らの心に、さらにものすごいものが注がれた。
「ここで勝手に演奏したら、今日観に来ている事務所の偉い人に怒られるかもしれない」
彼女がそう言ってアンコールで披露してくれたのは、初出しの新曲の一部だった。
のちに発表された「四十路」である。
四十路
本編と、拍手で気持ちが届いたことで、僕はもう大満足だった。満足のカンストである。
しかし、その上限をとっぱらってさらに満たしてくれたのがこの楽曲だった。
歌詞が良い、メロディーが良い、そして何より、日食なつこの魂が伝わってくるようなその演奏が本当に好きだった。
そして、会場の一体感。
それは僕がこれまで体験したことのないものだった。
アンコールも終わってしまい、それでも興奮冷めやらぬ僕と彼は、その後近くの飲食店でライブについて語らい、帰路でも語らい続けた。
が、それでもまったく消化しきれなかった。
すごい、と、ありがとう、がとても抱えきれない。
数日たっても全く醒めなかった僕は、この気持ちをファンレターとしてしたためて送ろうと思った。
そして書き始めた。
しかし、この記事でここまで書いてきたようなことを、この熱量で書こうとしていたから、まあまとまらない。
便箋2,3枚とかではとても収まりそうにない文章の下書きをとりあえずワードに起こしている時に、ふと我に返った。
見ず知らずの奴から、自分語り9割みたいな長文のファンレターがきたら、それはちょっと迷惑なんじゃないか。
冷静になった僕は、ファンレターを送ることを辞めた。
(が、辞めたためにそのまま残り続けているその時の想いを、消化しきれなくなって結局こんなブログをしたためるに至った)
クラウドファンディング
さあ、そんな感じでファンレターを送る事こそ思いとどまったものの、その時の感動は日々大きくなりつづけた。
その感動を抱いて、僕は2020年もたくさんのライブに参戦する気満々だった。
のに。のにである。
そう、新型コロナウイルスだ。
次々と発表される公演の中止。
仕方のないこととはいえ、楽しみにしていた「続・欄干わたり」も中止に。
僕がギリギリ現場で参戦できたのは『△Sing better△Tour』までだった。
ライブは中止になるし、世の中的にも閉塞感が漂っているし、先の見えない状況というものに、僕は心が疲れていた。
そんな時に発表されたのがクラウドファンディング「日食なつこの本領発揮。 1発録りで20曲宅録ベストアルバム制作計画。」である。
こんな状況なのに、いやこんな状況だからこそ、ファンに音楽や楽しみ、希望を届けようとしてくれるその姿勢に、僕はものすごく励まされた。
後日届いたCDの内容もめちゃくちゃ良くて、もう何度も繰り返し聴いている。
それから日食なつこは、オンラインでの配信ライブも行い、コロナ渦でも積極的にファンに音楽を届けてくれている。
ミゼレーレ
ここでようやく、今回の「ミゼレーレ」について語りたい。
感想の前に、この「ミゼレーレ」がどんな位置づけのライブだったかをまとめておく。
「ミゼレーレ」は2020年11月より行われた日食なつこの「無観客生配信、3ヶ月連続配信ワンマンライブ」の「第三弾」として行われた。
「ミゼレーレ」
日程:2021年1月16日(土)
時間:開場 19:15 / 開演 19:30
会場:内丸教会(岩手)
アーカイブ期間:2021年1月16日(土)19:30~2021年1月19日(火)23:59
(公式サイトより)
ちなみにこの「3ヶ月連続配信ワンマンライブ」、第一弾(2020年11月29日)は「欄干わたりオンライン -空(KU)-」としてお寺(岩手 専立寺)で行われた。
第二弾(2020年12月13日)の「遊泳喫茶オンライン “Refill please”」は喫茶店(喫茶carta)で行われた。
先の2つのライブ会場である「お寺」と「喫茶店」は、これまでも日食なつこがライブを開催したことのあるジャンルの場所であった。
対して今回の「教会」でのライブは彼女にとって初の試みとなった。
「2ヶ月間で過去を振り返り、最後の月に新たな挑戦をすることで未来を見る、そんな3ヶ月連続ライブのストーリーの締めくくりの場として教会を選びました。」(公式サイトより)とのことである。
公式サイトでは以下のようにコメントしている。(一部抜粋)
ライブタイトル「ミゼレーレ」=「miserere」。讃美歌などに用いられるラテン語で「慈悲を求める祈り」といった意味の言葉です。
公式サイト より
2021年はコロナウィルスによる混乱をまだまだ引きずる年になるでしょう。医療現場で、自治体で、この混乱の第一線で闘う方々が新たな年にはせめて真っ当に報われるように、そんな方々を尊重して自分も日々真っ当に生きているように、願いと意思表示を込め、年明け最初のライブのタイトルとして「ミゼレーレ」を提示します。
第一弾、第二弾のライブがとても素敵だったから、第三弾はどんな趣向で音楽を届けてくれるのだろうかと、楽しみにしていた。
当日、ライブが始まった。
「少年少女ではなくなった」から始まったライブは、なんとノンストップで14曲が披露された。
僕がこれまで参戦した彼女のライブで、こんなことは無かった。
いつもとはまた違った覚悟や気迫が伝わってくるようだった。
14曲の中では、僕の大好きな「white frost」がアレンジを加えて披露されたり、これまた僕の好きな曲「神様お願い抑えきれない衝動がいつまでも抑えきれないままでありますように」の後奏からそのまま「百万里」に繋がっていったり、といつも通り、想像以上の素晴らしい時間を与えてくれた。
その日最初で最後のMCを挟んで披露されたのが、新曲である。
ライブ後にリリースが発表された「音楽のすゝめ」と思われるけれど、まだ公式にあの新曲が「音楽のすゝめ」であると言及されてはいない……と思われる……。
新曲(「音楽のすゝめ」?)
この新曲がもう、本当に格好よかった。
日食なつこの、音楽に対する想いが詰め込まれたこの楽曲に、僕はめちゃくちゃ胸を打たれた。
公式から世に出ていないから、ここでその歌詞に詳しく触れることはしないけれど、特にサビのシンプルな歌詞とメロディーはずんと心に残り、あの日から毎日、僕の脳内で歌われている。
アーカイブ期間中は毎日繰り返し聴き、それからせめて歌詞だけでもと書き留めたくらい、とても心に響いた。
で、こうしてブログに書くことにしたんだけれど、こうして書いてみるともうなんのこっちゃ、全くもってあの感動が伝わらない文章なのが本当にもどかしい。
日食なつこの良さは
日食なつこにハマりだしてから、彼女のなにに惹かれているのかをよく考えていた。
ピアノのメロディーが好き。詞の言い回しや世界観が好き。声や歌い方が好き。
全部がそうで、でも全部がそうじゃない気がしていた。
なにか、なにかもっと違う、なにかに僕は惹かれている気がする。
そう思い、考え続けていた。
その答えが、今回の「ミゼレーレ」のライブを観て、新曲を聴いて、わかった。
僕は、彼女の「魂」に惹かれていたのだ。
「魂」と言うとなんかスピリチュアルだったり大袈裟だったりする印象を与えてしまうかもしれない。
僕の惹かれた彼女の「魂」というのは、彼女の「本気」とか「想い」「生き様」「真剣さ」とも言い換えられる。
彼女の、歌とそれを受け取る僕たちファンへの「真っ直ぐすぎる姿勢」に僕は惹かれているのだと思う。
なんて言うとなんだか少し「神様みたいに信じ過ぎ」てしまっているように思われてしまうし、実際僕もそうなってしまっていやしないかと考えた。
そうならないように気をつけながらも「揺れて動いた心に従」って、これからも彼女の音楽を、彼女の活動を追いかけて行きたいと思う。
ということで以上、日食なつこ「ミゼレーレ」の感想を書くつもりが彼女のことをいかに好きかというなんだか気持ち悪い文章が出来上がってしまったでした。山も落ちもないけど、終わりです。ではまた。