【感想】向井湘五『リケイ文芸同盟』“リケイ”の視点でも読んでみたかった作品

2021年1月10日

理系の編集者である主人公が文芸編集部で奮闘するお仕事小説です。

向井湘五『リケイ文芸同盟』 書籍情報

『リケイ文芸同盟』向井湘五

『リケイ文芸同盟』向井湘五

幻冬舎文庫 む8-1

定価690円+税
ISBN978-4-344-42538-5
CコードC0193

向井湘五『リケイ文芸同盟』 感想

本書との出会い

僕は、根っからの文系だ。学生時代得意だったのは現代文と現代社会。あ、現代社会って、いま無いんだよね……。

で、数学や理科といったいわゆる理系教科は大の苦手だった。から、本来ならリケイが主人公の本など手に取らないだろう。

けれども本書は「編集者」の「お仕事小説」で。文系でお仕事小説好きな僕に対する訴求力はなかなかのものだった。

書店で見かけ、気付いたら手にとって、気付いたらレジへと向かっていた。

これだからリケイは

「しかし、任意の非負整数、というわけにはいきませんし……」

向井湘五『リケイ文芸同盟』 本文より

これは物語の序盤、「あとがきは何ページでもいい」と言った上司に主人公桐生蒼太が返した言葉である。

めんどくせえええええ。

と思ったと同時に、なんだか妙に惹かれたセリフだ。

で、序盤でこれだけの面倒くささを発揮しているために、キャラクターの印象そのものも、なんだか面倒くさいやつ、みたいに思っていたが、一つ一つをみていくと、至極まっとうなことを言っている、こともある。ような気がする。

そんな面倒くさいが割とまっとうな主人公が、全てが曖昧な文系の世界で「リケイ」の力でやっていこうと同期の嵐田と組んだのがタイトルにもなっている「リケイ文芸同盟」。

王道、お仕事×バディ

企画会議、〆切り、売上目標、刊行予定、といった出版業界を垣間見ることができる「お仕事小説」であるとともに、同期の桐生、嵐田の「リケイ文芸同盟」の「バディ小説」的要素も備えている、一度で二度美味しい的な小説だった。

……というかお仕事×バディはむしろ王道か。そう、お仕事小説のど真ん中だった。

理系と文系

で、そんな本書の芯は「リケイ」の視点であるのだけれど、文系の僕からは変に見えて面白かった部分とかが、理系の人からはどう見えるのかなーと、とても気になった。

小説というものが読む人によって感じ方が違うというのは、当たり前のことなんだけれど、理系と文系という属性を前面に押し出されているために、より強く、その感じ方の違いが気になった。

気になって仕方がないけど、僕が理系的視点で読むことはきっととてもすごく難しい。ので、いつか理系の友人に読んでもらって、その感想を聞いてみたいなーなんて思った。

まとめ、こんな人におすすめ

  • お仕事小説が好きな人
  • 出版業界に興味がある人
  • バディものが好きな人
  • リケイの人
  • 文系の人

こんな方は一度読んでみられてはいかがでしょうか。

というわけで以上、【感想】向井湘五『リケイ文芸同盟』“リケイ”の視点でも読んでみたかった作品でした。ではまた。