【感想】『リスタートはおなかをすかせて』おっとり方言男子×ツンデレつり目のその後を描く

2020年11月19日

映画化もされた、おっとりとツンデレのピュアなBL『リスタートはただいまのあとで』の続編を読みました。その感想を、ゲイ的視点多めで、お話しさせていただきます。

※前作のネタバレや、本作の筋に関係する話が出てきますのでご注意ください。

『リスタートはおなかをすかせて』書籍情報

リスタートはおなかをすかせて

Canna Comics

リスタートはおなかをすかせて
ココミ(著/文)
発行:プランタン出版

B6判 縦182mm 横128mm
192ページ
ISBN9784829686393
書店発売日2020年8月28日

田舎で結ばれた二人のその後

劇場で観た映画『リスタートはただいまのあとで』が、僕とこのシリーズとの出会いでした。

映画は、メインの二人の繊細な表情や周りの人たちとの関わり、北国の澄んだ空気などをとても丁寧に描いていて、観終わった後にとてもあたたかい気持ちになりました。が、それと同時に、一つ、引っかかることがあったのです。

二人は、この田舎で、幸せになれるんだろうか

田舎にゲイは住みにくい

ような気がするのです。ような気がして、僕は田舎を離れました。といっても、今もそんな大都会に住んでいるわけではないんですが。(もちろん、個人差はあると思いますし、田舎の方が住みやすいという人もいるとは思います)

なぜ田舎が住みにくいのか。僕の考える理由は

・価値観が一昔前
・地域の繋がりが強い
・知り合いが多い(地元の場合)

の3つです。もちろん全部、場所や人によると言ってしまえばそれまでですが、その傾向が強い、と個人的には感じます。

価値観が古いから、LGBTやなんやかんやは未だ受け入れられません。地域の繋がりが強いから、それらがすぐに噂となって広まります。地元の場合は、そんな噂が友人にもすぐに伝わります。

対してある程度の都会(?)になれば、LGBTを受け入れようしている社会の空気感があります。(いいことかばかりではないかもしれませんが)地域の繋がりがそんなにないので、ご近所にどんな人がいるかもあまりわかりません。地元でなければ、それが自身の知り合いに届くことも少ないでしょう。

と、話が本筋から逸れてしまいましたが、とにかく僕自身がゲイなので、フィクションとはいえ、田舎で結ばれた二人がこれからちゃんと幸せになれるのか、とても心配で、だから続編の存在を知った時は、とても嬉しかったです。と同時に、二人が不幸せになっていたら嫌だし、かと言ってそんな田舎の問題を置いておいてただ普通に幸せになっていても、なんだかなあと思ってしまいそうだなと、少し心配しながら本書を手に取りました。

結婚、噂話、パートナーシップ制度まで!

結婚していく友人、いつも一緒にいる二人についての噂話、法的な効力のないパートナーシップ制度まで!同性と(田舎で)暮らしていく生きづらさが丁寧に描かれていて、とても嬉しかったです。

噂話は、田舎で未来を考える二人であれば絶対に避けては通れないと思っていたので、そこにきちんと触れてくれたことがまず嬉しかったです。

また、歳を取っていくということは、周りの友人が結婚していくということで、ああそこもちゃんと描いてくれるんだなというのも、リアルで好きだなと思いました。

で、その友人の結婚に関連して、まさかパートナーシップ制度にまで言及してくれるとは。まさに今の時代を真摯に切り取ってくれている気がしてとても感動しました。

リアルと、アンリアルのはざまで

結婚に噂話に、パートナーシップ制度までと、リアルなトピックを扱っている本作ですが、周囲の反応は少々非現実的かなと感じました。

受け入れてくれる、しかも自然に受け入れてくれる人の多いこと多いこと。現実だとちょっとここまで上手くいかないかな、というのは、正直思います。

でも僕は、そこが逆に、大好きです。

少しずつ変わってきている世の中。日々の暮らしの中で生きづらいと感じることは、僕は少ないです。幸いにも。それでも、結婚だったり噂話だったり偏見だったりに触れて、ちょっとへこんだりすることは、ゼロではありません。

だからこそ、フィクションの中で二人が、そういったものから、周囲の優しさに守られていることが嬉しくなりました。しかも、その守り方が自然で。取り立てて声を大にして何かをいうのではなく、さりげなく気遣ってくれるその優しさに、ジーンときました。

とにかく今回も二人が可愛い

さて、ここまでなんか物語の感想というよりもゲイの話みたいになってしまったんですけど、ここまでのは、こういったディティールにも気遣いが感じられてとても好きでした、というお話で。そもそもの話をします。

前作に引き続き、今作も、二人がとても可愛かったです。

前作でおっとり構えていた大和(やまと)は、光臣(みつおみ)への想いがあるがゆえに気持ちが浮き沈みします。前作でツンデレだった光臣は、周囲に対してだいぶ丸くなって、大和に対してもデレ率高め。

付き合ってからのこういう、仲良しな中での悩みだったり行き違いだったり、でも結局仲良しなんだろっていうのが、個人的にとても好きなんで、本当にドストライクでした。

難しい田舎と、優しいまわりの人たちの中で、今後ふたりがどうなっていくのか。ぜひ、ぜひ続きを読んでみたいと、願わずにはいられません。

以上、『リスタートはおなかをすかせて』ゲイ的視点多めな感想でした。ありがとうございました。ではまた。